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電気ガス水道のないキャンプから学ぶもの−夏のエコキャンプ2020−

夏のエコキャンプ

遠野エコネットさんが主催する『夏のエコキャンプ2020』が

先日8月13日から16日までの3泊4日で行われました。

コロナ禍でかつお盆期間ということもあり、参加者集めには苦戦すると思われていましたが

なんと過去最速の速さで定員が埋まり、キャンセルも出ず

過去最高の人数21名の子どもたちが参加してくれました。

チラシにもある通り「電気ガス水道のない環境」でのキャンプです。

僕はこのキャンプに関わり始めて3年目でしたが、今年も子どもたちやスタッフとしてかかわる学生さんたち、そして自然からたくさんのことを学ばせてもらいました。

エコキャンプとの関わり

大学2年生の時

陸前高田で行われた小学生対象のキャンプに学生スタッフとして参加し、

子どもたち対象のキャンプから大人の自分たち学生にとって学べるものが多くあることに気づきました。

岩手大学には農学部があり、また教育学部もあります。

自然を学ぶ学生や子どもたちへの教育を学ぶ学生にそんな学びの機会を作りたいと思い、

大学のLET’Sビギンプロジェクトでキャンププロジェクトを企画しようとしていました。

しかし、挫折…

ほとんど、あきらめかけていた大学3年の夏

「今、弘前大学の学生が遠野でやっているエコキャンプ、岩手大学に引き継げないかな」

という相談を受けました。

もう迷うことなく「ぜひ!!」

それ以来、ほとんどサポートの立場でしたが、ずっと参加してきました。

1年目は弘前大学と共同で行い、2年目からは岩手大学に完全移行。

そして、3年目になる今年は新たに

『森のキャンプリーダー養成プログラム』として

より学生スタッフの学びが深まるようなプログラムとして行うこととなりました。

そして、僕はこのプログラムのコーディネーターを務めさせていただきました。

森のキャンプリーダー養成プログラム詳細

岩手大学に子どもたち対象のキャンププログラムを導入したいという大学2年生のころの夢がここまで形になって

正直、このエコキャンプが始まる前からとても嬉しかったんです。

本当にあの時、声をかけてもらえてよかったです。

ありがとうございます。

ここまで来るのに僕には大して何もできなかった気がしますが

これまでこのキャンプを作ってきた遠野エコネットさんやたくさんの学生さんたち、そして今回のコーディネーターのメンバーの想いが連なって自然な流れでこうなったようにも思えます。本当に恵まれていたな、と思います。

改めてありがとうございました。

エコキャンプまでの道のり

このキャンプが始まるまで

このプログラムの中で

オンラインで何度も何度も講座や打ち合わせが行われました。

講座では自然体験だけでなく情報発信のコツやカメラの撮り方のコツなど多岐にわたり

中でも『森のキャンプリーダー養成プログラム』の一環として一般向けに開催された『子ども向け自然体験活動指導者養成講座』では

大学の教授をお招きし、体験を通しながら自然体験活動について学び

以前より課題だった救命救急に関しても実演しながら学びました。

打ち合わせでは

コーディネーターを含めた全体ミーティングのほかにも学生だけでのミーティングもたくさん行われ、事前合宿にはほとんどの学生が参加しました。

そこではキャンプの内容はもちろんのこと

「時計を子どもたちに持たせるべきか。スタッフも時計を持つべきか」

「嫌いなものでも食べる努力をさせるのは、本当にいいのか。」

「子どもたちへの注意の仕方」

など

普通のキャンプでは考えないような答えのない哲学的なことも話し合われてきました。

結果として時計は子どもたちに持たせないことになり

同じコーディネーターのたつぴー言葉を借りると

時計もなければタイムスケジュールもあってないようなもの。
何時に起きて!とか、何時から何始めるよ。もない。
暗くなったら寝て、明るくなったら起きる。
腹が減ったら火を焚き、飯を作る。
眠くなったら、いつ寝てもいい。

という4日間になりました。

青少年自然の家で働くたつぴー曰く、「こんなのうちじゃあり得ない」そうです笑

食べ物も今年はその子の好き嫌いを尊重して、無理に嫌いなものを食べさせず、

自主申告制で食べられる分だけお皿によそり、全部食べ切るスタイルになりました。

個人的にはこれがまた良いなと思っていました。

味覚音痴で好き嫌いのない僕からすると好き嫌いがあるのがうらやましくて

子どもができたら好き嫌いのある子に育ってほしいと思うほど笑

なので、話し合いの結果

こういう結論になったのは終わってから言うけど嬉しかったんです笑

とかとか

僕としては、答えのないことを考えるこの過程がすごく大事な気がします。

僕自身ずっと一人で考え続けてきたことだったりして

こうして、大事なことをみんなで話し合える環境があることがとてもうらやましくも感じました笑

本当に学生スタッフのみんな

テストや課題で忙しい中、よく頑張っていました。

ほんとすごいです。

夏のエコキャンプ2020

エコキャンプは電気ガス水道のない環境で行われます。

当日の様子はエコキャンプのFacebookに毎日投稿していましたので

よかったらご覧ください。

https://www.facebook.com/夏のエコキャンプ-110246790773529/

それでも子どもたちは元気に暮らし、遊び、学んでいました。

今、高校の授業で『探究』という課題解決型の授業ができましたが

本来『探究』や『課題解決』はこうした遊びや人間関係の中で培っていくものなんだと

そして、そんな時間を学校教育が奪ってしまっているから『探究』という授業が必要になってしまうんだと思わされます。

「楽しかった」という感想が出るのはすごいこと

終わりの会で僕は大したこと伝えられなかったけど(大反省中)

同じコーディネーターのもっちが次のようなことを話していました。

みんな「楽しかった」って話してくれているけど

これってすごいことなんだよ。

つらいこともたくさんあったよね。

20人もいる中で楽しめるってすごいことだと思う。

本当にそうだなーって。

僕らコーディネーターも学生スタッフも子どもたちに楽しんでもらえるように精一杯努力してきました。

何より学生スタッフのみんなは本当に頑張っていて拍手を送りたいです。

けど、それだけでは楽しめるものではなくて、参加した子どもたち自身が楽しむための努力を下からこそ、このキャンプは楽しいものになったと思います。

普段、ボタン1つで入れるお風呂も

川から全員でバケツリレーしてドラム缶に水を入れて

薪を大量に集めて一生懸命気を起こさないといけません。

コンビニでお金出せば買えるごはんも

箸を自分で作って、かまどを作って、薪を集めて火をおこし

料理も自分たちで作らなければいけません。

もちろん、片付けも川に行ってごしごししなきゃいけない。

それを毎日3食。

めんどくさかったと思います。

さらにもっちも言っていたけど

共同生活する人が21人もいれば、大人だったとしても「この人とは合わないな」って人は出てくるもの。

きっと、子どもたちの中でもあったはずです。

それでも、みんな必死に楽しむ努力をしていました。

たまには逃げることも大事だけれども

こうして、めんどくささや大変さ、つらいことの中から楽しさを見つけて

楽しむ努力をする。

これから大人になってからもすごく大事なことだと思います。

僕は言葉としてみんなに伝えられなかったけど

このキャンプの経験の中から学んでいてくれていると思います。

うん、そうだとうれしいです。

大きな災害があったときのために

これは代表のボスが口々に話すことだけれども

これから先、また東日本大震災のような大きな災害が起こらないとも限りません。

もし、また起こったきに生きていく力を今回のキャンプに参加した子どもたちは身に着けていると思います。

トイレ行きたいけど、水道が使えない

そんな時は穴を掘ってすればいいって子どもたちは体験として知ったし

お風呂や食事だって山から薪を拾って自分たちで火をつけてやることもできる。

きっとみんなはこれから大災害があったとしても生きていけると思います。

自信持ってほしいな。

学生のみんなへ

今回のキャンプを創ってきたのは紛れもなく学生スタッフのみんなだと思います。

本当にお疲れ様。

すごく良いキャンプでした。

本来は子どもたちのためのキャンプだけど、僕の場合は初めのモチベーションがスタッフをする学生の学びだったから

今回、キャンプまでの準備段階や当日の様子とか見てると

特に後半なんかは

もう僕はいらないなって思わされるくらいで

とてもうれしかったです。

誰かに何かを伝えることの難しさと伝わる喜び

一人一人違う子どもたちを相手にする難しさ

任された仕事に対する責任

答えのない問いへの悩み

このキャンプで考えたことや経験したことをこれからのキャリアに活かしていってほしいって心から思います。

約半年の間、本当にお疲れ様。

そして、ありがとう。

個人的な想い

このキャンプに関わり始めて今年で3年目になりました。

大学4年生で関わり始めた当初からサポート側だったから、一度も学生の立場でキャンプを創ることはなく

だから、こういう経験ができるみんながうらやましいです笑

そして、今年はコーディネーターとして関わらせてもらいましたが

もっともっと力になりたかったけれど、力不足なことが多くて

どこまで力になれたのか正直不安なところです。

僕自身、このキャンプでコーディネーターの立場で

学生や子どもたちからたくさんのことを学ばせてもらいました。

後悔もたくさんあって大反省中です。

今回の後悔も含めた経験を全部自分のものにして

さらに力をつけて

今回役に立てなかった分を、また別の機会でお返ししたいと思います。

長くなりましたが、ここまでにします。

夏のエコキャンプ2020、お疲れ様でした!